2011年5月9日月曜日

5月2日~8日 「社会貢献でメシを食う(後編)」「ヘッジファンドの真実(前編)」

今週は英語の勉強時間は4時間でした。

【ひとこと】
新たに守るものが一つできましたので、より頑張っていきます。

【今週の本】
「社会貢献でメシを食う」竹井 善昭著

4章 企業の力で社会貢献
日本のCSRには、3つの段階があったと考えられる。
まず、CSR1.0の時代。これは「慈善」の時代でもある。企業に求められていたのは、NPOへの寄付。要するに、企業は金を出すだけという時代だった。しかし、企業だってものを考える。お金を出すなら、自分たちにとってもう少し意義のある出し方をしたい。それで出てきたのが「本業を通じたCSR」、あるいは「本業を活かしたCSR」という考え方だ。これがCSR2.0である。CSR2.0の事例には、たとえばコーズ・マーケティングがある。本業である「商品を売る」という活動に寄付を組み込んだ仕組みで、ボルヴィックの「1for10ℓ」や、王子ネピアの「千のトイレプロジェクト」、アサヒビールの「うまい!を明日へ!」プロジェクトなど、数多くの企業がこの手法を取り入れている。
CSR3.0とは、「本業とCSRの統合」という考え方である。これからの企業は、本業の中にいかに社会貢献を組み込んでいくかが問われている。だから、「本業を通じたCSR」ではなく、「本業とCSRの統合」なのである。実際に、CSR2.0からCSR3.0への移行はすでに始まっている。代表的な例が「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングだ。これまでファーストリテイリングは、着古したユニクロ製品を店頭で回収して、それを難民キャンプの人々に提供するというCSR活動を行ってきた。これはアパレル・メーカーが自社の製品と販売網を活用して行う、典型的なCSR2.0の活動である。そして、20107月。ファーストリテイリングはCSR3.0に突入した。グラミン銀行グループと提携して、バングラデシュに合弁会社をつくり、ソーシャル・ビジネスを展開すると発表した。貧困層でも購入できる低価格商品(1ドル程度)を開発・販売。柳井代表は記者会見でこんな発言をしている。「これまで主に先進国を対象にビジネスを広げてきたが、世界にはそれ以外の国に住む人々が約40億人いる。バングラデシュは将来性のある国。人々の生活をサポートし、世の中の役に立つソーシャル・ビジネスを開発することで、将来的に大きなビジネスになる」

5章 プロボノという働き方
プロボノは専門的なスキルでNPOなどをサポートする新しいタイプのボランティアである。様々な分野のプロが自分たちの専門的なスキルを無償でNPONGOに提供する。プロにしかできないボランティア。それがプロボノ。たとえば、弁護士が契約書を作成する。公認会計士が経理や財務の状況をチェックする。その他いろいろ。日本では2010年がプロボノ元年といわれるくらいで、最近になって急速に関心が高まってきた。
これからのプロボノには、「お金を生むスキーム」をつくることも求められてくる。それには、世の中の投資資金をいかに社会セクターに呼び込めるかが課題となる。SRIはそのひとつの方法だが、もっと直接的に投資家や企業のお金が、社会起業家やNPOのプロジェクトに流れるような仕組みをつくることが求められるだろう。

6章 それでも僕らは社会貢献をめざす
最後にここで僕自身のことを少し語らせてもらう。僕の本業は、マーケティング・コンサルタントとメディア・プロデューサーで、長年にわたりこの分野でメシを食ってきた。そんな僕が4年ほど前、たまたま社会起業家に関する本を読む機会を持つ。それは、ビジネスの手法で社会問題を解決するという衝撃的な内容だった。
かつて、アップルのスティーブジョブズはペプシコーラの社長だったジョン・スカリーをこんな口説き文句でヘッドハンティングした。
「このまま一生、里臼井を売り続けるのか、それとも世界を変えるチャンスをつかみたいか」あまりに有名な、この殺し文句にやられて、スカリーはペプシコーラを辞めアップルに移籍した。1938年のことだった。「世界を変える」という言葉には、それほどまでに大きな磁力があり、魔力がある。そして、世界を変えようと頑張っている人間はかっこいい。
人は誰でも、価値ある人間になりたいと思っている。社会貢献は僕らに価値を与えてくれる。自分が少しは世の中の役に立つ人間なのだという気持ちにさせてくれる。その気持ちが、自分自身に希望を与えてくれる。世の中に希望を生み、自分自身も希望を抱ける。希望に満ちた世界をつくり、希望に満ちた人生が得られる。こんな仕事は他にない。
だから僕らは社会貢献をめざす-

【ひとこと】
世の中の移り変わりは速いと実感する。

「ヘッジファンドの真実」若林秀樹著

1章 ヘッジファンドとは何か
意外に思われるかもしれないが、ヘッジファンドはハイリスク・ハイリターンを求める特別な最終投資家、あるいは一部の富裕層によって注目されたため膨張したのではない。むしろ、リスクを嫌う年金基金といった最終投資家にも、着実に普及が進んでいる。存在価値はどこにあるのか。2004年の日経企業年金実態調査によると、全体で20%程度、厚生年金でも20%がヘッジファンドを含む「オルタナティブ投資」を取り入れている。2006年には全体で40%強だが、厚生年金では50%強までに増えた。最終投資家にとってのヘッジファンドの魅力は「リスクが小さく、リターンが優れている」「分散効果が期待できる」ことである。つまり、マスメディアの認識とは異なり、実際の業界ではハイリスク・ハイリターンからヘッジファンドが好まれているわけではない。伝統的なファンドにない特徴は「成功報酬」を導入し、運用者自身もファンドに個人資産の多く入れている点にある。

2章 ヘッジファンドはどんなストラテジーがあるか
まずはビークル(入れもの)によって「シングルヘッジファンド」「マルチストラテジー」「ファンドオブヘッジファンズ」に大別される。マルチストラテジーは複数のストラテジーを使うもの。ファンドオブヘッジファンズは、ポートフォリオに組み入れる銘柄のように、いくつかの異なるストラテジーあるいは同一のストラテジーの複数シングルヘッジファンドを傘下に置き、それらを組み合わせていく投資戦略だ。
シングルヘッジファンドのストラテジーは、大きく分類すると次の4つに分類される。
セキュリティ・セレクション・・・企業分析に基づき、ロング・ショートを併用する最も古典的なヘッジファンド運用法。
ディレクショナル・トレーディング・・・株式・債券・通貨・商品などの各市場についてチャートによるテクニカル分析や定量モデルを使い、トップダウンアプローチ式に、その方向性を予測して賭ける運用法。ディレクショナルとは「方向性」という意味。
イベント・ドリブン・・・合併などのM&Aがらみのイベントや割安な低格付け証券の信用リスクを利用する運用法。
レラティブ・バリュー・・・株式・債券・通貨・商品のロング・ショートの組み合わせで価格格差を利用する投資法。

3章 ヘッジファンドとはどんなビジネスモデルか
ヘッジファンドの事業は、初期コストが意外と高いが、ある程度の運用額になると、急速に利益が出てくることが大きな特徴である。たとえば運用会社の収入は、運用金額に対して12%の「管理報酬」と1020%の「成功報酬」からなる。初期では「シードマネー」と言われるスタート時点での資金集めと、それを元にどの程度の運用成績を上げるかが重要になる。一般の事業を起こす場合でも「景気サイクル」などのタイミング
は重要だが、ヘッジファンドの場合はその要素が極めて大きい。ヘッジファンドの運用金額で、ひとつの峠は3050億円だろう。管理報酬だけなら運用会社の収入は数億円である。そこから出てくる運用助言会の収入はさらに小さく、利益はほとんど出ない。ヘッジファンドを始めようと思ったら、資本金と1年の運転資金、自分自身への資金など、最低1億円程度は用意し、準備半年、助走半年は無給で頑張る。さらに半年の運用成績次第で、運用金額3050億円のクリティカルポイントに達する。ここが勝負どころの分岐点で、23年後には成否が決まる。

【ひとこと】
今までヘッジファンドとはベールに包まれ謎めいていたが、この本はヘッジファンドについて非常にわかりやすく書いている。


 

0 件のコメント:

コメントを投稿