2010年11月23日火曜日

11月15日~21日「第3の道」

今週は英語の勉強を9時間しました。

【ひとこと】
継続は力です。習慣化させてしまえば、しなければ逆に気持ち悪くなります。歯磨きのように・・・今が苦しい時です。なんとか頑張ります。先日、LECから通信教育の教材が届きました。会社の福利厚生で受講料が90%OFFみたいな・・・で2.3千円でたしか受講できているような。日々、自分の境遇に感謝しながら頑張ります。来週からというか今週か・・・から通信教育試してみます。試験は受かるために受けるものです!元気ですか!!

【今週の本】
「第3の道」山田宏著

はじめに
戦後幕藩体制は90年以降の黒船来襲で激しく動揺した。黒船の中身は3つの大きな構造変化である。
1つ目は、旧ソ連の崩壊による冷戦の終結。多様化した世界ではもはやアメリカ依存のみでは通用しない。
2つ目は、少子高齢化の進行。今まで通りの年金や医療制度を無理して維持しようとしているから、国の借金は増え続けるばかりである。
3つ目は、ITを背景とした世界のボーダレス化。この国は昔ながらの鎖国を続けた結果、国際競争力が低下している。
今こそ失われた20年を取り戻すべきだ。キーワードは「依存から自立へ」。

第1章     危機に立つ日本
収入よりも借金が多い生活が果たして長続きするのだろうか?平成22年度の予算を1カ月の家計にたとえると、収入(税収+その他の収入)48万円しかないのに支出(歳出)92万円。あらたに44万円の借金(公債金)をしている。国の借金は平成21年度末で870兆円。国民1人あたり680万円以上。行き着く先はハイパーインフレによる日本の国家破綻である。怖いのはインフレだけではない。アメリカのニューディール政策、ドイツのアウトバーンをはじめとする公共投資政策は借金を増やすだけで、結局は行き詰った。最終的には戦争という最悪の形で借金をチャラにした。借金は増える一方なのに、返す人は減っていく。日本の合計特殊出生率は1.37。いま5歳の子供が50歳になる頃(2055)には、日本の人口は9000万人以下になる。東京・大阪・神奈川・埼玉の人口がそっくり減るようなものだ。55年には人口の40%が65歳以上の高齢者となり、15歳~64歳までの現役世代は人口の50%近くまでダウンする。高齢者に対する現役世代の割合は2.8人→1.3人にまで減る。日本経済も縮んでいる2000年を1とすると、08年は1.05。アメリカは1.45、ドイツは1.92、韓国は1.77。フォーチュン・グローバル50009年度の売上高上位300社に入っている日本企業は2社だけ。アメリカは8社、フランスは4社、ドイツは3社、中国は2社。韓国のサムスンの規模にはソニーとパナソニックを足しても届かない。インドの鉄鋼会社ミタルは新日鉄の2倍のスケールがある。

第2章     成長を目指せ
戦後幕藩体制下では、国が高い税率で国民の富を吸い上げ、公共投資・補助金・手当・社会保障費という形でバラまきを行った。しかし、本当は税率を下げて、稼いだ人にお金を使ってもらうべきだ。それが消費を高めて、経済を発展させる道である。日本の景気が回復しない原因のひとつはお金の使い道がない高齢者がたくさんの金融資産を持っていて、消費が伸びないところにある。日本の高齢者は不動産を含めると、1人平均3500万円もの資産を抱えて死ぬ。日本の相続税・贈与税は最大50%と突出して高い。スイス・イタリアなど主要17カ国は相続税がゼロ。日本も資産を消費意欲のある若年層に移動しやすくしよう。高齢者がお金を使わずに手元に置いているのは、将来に対する不安があるから。それを解消する政策もセットで行おう。贈与者の住民税・医療や介護などの本人負担分を無料にする。所得税も高い。日本の所得税は地方税と合わせて最高50%。世界標準は25%前後だから、その2倍の高水準だ。よく累進課税を止めようというと、「金持ち優遇。貧乏人いじめで不公平だ」という批判の声が上がる。しかし所得によって税率を変える方が不公平。税制は貧富の差を是正する道具ではない。ビル・ゲイツのようなお金持ちが次々と生まれて、彼らがたくさんお金を使ってくれた方が国は元気になるし、経済も活性化する。法人税も高すぎる。09年の最高税率は40.7%で、OECD諸国の中でも高い。フランスは33%前後。イギリスは28%、ドイツは30%前後、そしてシンガポールは18%である。ボーダレス化した世界では、企業は法人税の低い国に集まる。職税も法人税も下げた方が税収は増える。これは世界の常識。たとえば、ロシアは所得税の減税とフラット化で大きな成果を上げた。それまで12%20%30%の累進制だったものを、13%にフラット化した途端、25%も税収が増えた。所得を隠す必要がなくなったからだ。少子高齢化は国の未来を左右する。手当に頼るだけの少子高齢化対策は効果がない。手当で出生率が上がったのはフランスくらい。ドイツでは18歳まで子供手当を支給しているが、出生率は1.38でずっと横ばいが続いている。ウクライナのように高額の手当を出しても出生率が下がり続けている国もある。お金がないから子供が増えないのではない。若者の非婚化、晩婚化が進んでいるから子供が増えないのだ。20代で結婚した男女には安い住宅を提供するなどして、子育てに対する経済的な負担を徹底的に減らす。家族が持てるような柔軟な社会をつくろう。オイルマネーはおよそ100兆円。それに対して日本には個人の金融資産が1500兆円。政府は100兆円の外貨準備を持ち、年金積立金も90兆円ある。そこから日本版国家ファンドをつくって運用しよう。シンガポール国家ファンドの過去25年の平均利回りは9.9%10%で回せば積立金は10年未満で2倍になる。そのお金を日本の成長のために使えばいいのだ。

第3章     安心な暮らし
ちょっと前まで、日本の年金や、医療システムは世界に誇れるものだった。基礎年金は、25年以上の納付期間を経て65歳から支給される。40年間加入していた場合、満額で年792100円(月額66008円)が生涯支給される。これは福祉国家の代表格スウェーデンより多い。1950年代までは働いている人と年金受給者の割合は10:1。それが2000年には3.6:120年には2:150年には1.4:1になる。また国民の医療費は08年で34.6兆円だが、高齢化の進行で15年には40兆円、25年には50兆円になると推計される。税収をそっくり回しても赤字になる額である。自由な発想で福祉に用いるお金を生み出そう。たとえば、カジノを活用する手もある。世界の先進国で大都市に大人の楽しみであるカジノがないのは日本くらい。モナコはカジノの収益と間接税のみで財政を支えている。カジノ課税で年金の一部を支えることも不可能ではない。医療について語ろうとするとすぐにお金の話になってしまうが、その前に健康の尊さ、健康を守るための予防医療、介護予防の話をしよう。病気は日常のちょっとした心がけで予防できる。たとえば、歯磨きを励行する老人ホームでは、寝たきり率が低くなる。歯は健康の元。介護予防も大切である。デンマークには寝たきりの人がほとんどいない。寝たきりになるとコストがかかるので、ボランティアなどが高齢者の活動を支援して自立を助けているからだ。ここで介護をする側の人のことを考えてみよう。福祉施設介護員の平均月収は男性23万円、女性21万円。一般労働者の平均は男性33万円、女性23万円。2030年には介護従事者が419万人必要になるが、このままでは325万人が不足すると考えられている。雇用の機会と捉えて成長産業にすべきではないか。アメリカには高齢者が住むリタイアメントタウンがたくさんある。さまざまはレジャー施設があり人生を楽しむことを目的としたシニアが1万人規模で集まっている。日本でも国が支援してシルバータウンをつくろう。1万人の元気な高齢者が移住してくれば、地域の経済も潤う。

第4章     自分の国は自分で守る
自分のうちは自分で守るのが基本。日本のまわりには、北朝鮮という核兵器を持つ敵対的な軍事国家がある。中国は経済的にはパートナーだけど、軍事費の伸びは異常なペース。日本が富国強兵を必死になって進めていた日清・日露戦争の時代でも軍事費の伸びは10%くらい。いまの中国の軍事費のそれを上回る年率15%以上で伸びている。こうした今日から日本を守るには、自分の国は自分で守るという自主防衛の国民的同意の確立が先決。そのうえで同盟国とのパートナーシップを築こう。日本にとって一番大切なパートナーはやはりアメリカだ。なぜならば、自由・民主主義・人権尊重など互いに共通する価値観を持っているから。日本の防衛費は47000億円。GDP1%にも満たない。アメリカは4%、韓国は2.6%、フランスは2.3%だから、世界の常識からするとずいぶん低い。それなのに当時の鳩山内閣は子ども手当に55000億円も使うつもり。資源やエネルギーを巡る国家間の争いは、国の安全保障の一大テーマになりつつある。日本では石油は出ないけれど、低炭素・脱石油時代の到来は日本にとってチャンス。原子力発電はクリーンで低炭素だし、コストも石油が1ドル60ドル以上なら原子力の方が安い。世界で原子炉の需要が高まっているが、原子炉を安全な形で提供できるのは世界に4社だけ。そのうち3社は日本企業なのだ。

第5章     天分を育む教育
石油も出ない。ダイヤモンドもレアメタルも出ない。でも日本にはたくさんの優秀で勤勉な人々がいた。人間こそが日本が世界に誇れる宝物だった。でも、今では東欧や東南アジアの人々の方がもっとよく働く。手先が器用で賢い民族だとうぬぼれているうちに、ITでは韓国やインドの人たちに勝てなくなってきた。日本を立て直すには、日本人を立て直さないと。そのためには教育改革が必要だ。現在の教育の土台になっているのは、明治5年から始まった学制。戦後、学制改革が行われたが、そのコンセプトは同じ。近代工業国家をつくるために、知識と技術を画一的に詰め込む教育だった。でも、顔かたちが一人ひとり違うように、人間はその中身もみんな違う。さまざまな個性、天分を持つ人を画一的に教育するのは間違っている。真っ先に行うべきは人としての礎をつくる教育。国や学校に任せず、まずは親が子供に教える。正しい生き方を自信を持って子供に伝えるには、親自身が胸を張って、正しいと言える生き方をしなくては。
まず子供に教えるべき大切な基礎は3つある。
1つ目は「宗教心」。特定の宗教を教育するという意味ではない。「お天道様が見ている」という表現が昔はあったけれど、神様ならどう考えるだろう、天から見たらどう見えるのだろうと、自らの言動を高い視点から客観的に見る力を養うのだ。
2つ目は「道徳」。道徳とは、生き方として何が正しく、何が間違っているかを、経験則に基づいて示した規範。学校ができる前から、日本には優れた道徳教育があった。
3つ目は「歴史」。人は生まれた土地の文化や風土を含む歴史を背負って育つ。国の歴史、先人の行いを肯定的に評価しない限り、子供はまっすぐ育たない。以上に自虐的な歴史観を教えたら、子供は曲がるばかり。
運動会の徒競走で順位に差がつかないように、手をつないでみんなでゴールをする学校の話、聞いたことがあるはずだ。それこそ戦後の画一教育、悪しき平等主義の典型。人間の天分は多様。算数や国語は苦手だが、かけっこだけは速いという子供もいる。彼らがいちばん胸を張りたい徒競走を全員一等賞にしたら、彼らの居場所がなくなる。教育で大勢なのは、自分が試せる場所をたくさんつくること。

第6章     小さな政府をつくる
大きな政府の最たるものは、社会主義国家。国民のお金をすべて政府が吸い上げて、政府がその使い道を決めてしまう。ゆりかごから墓場まで。そんな高福祉国家を志向したイギリスは、財政的に破綻して国力が低下した。それを救ったのはマーガレット・サッチャー。その武器は小さな政府と市場メカニズムの活用だった。借金だらけの財政を救うには、コストのかからない小さな政府を目指すべき。公務員も議員も大胆に減らしてしまおう。官僚組織は日本が貧しかった戦後復興の過程ではちゃんと機能していた。少ない富を活用して豊になるという共通の目標があるから、官僚の言うことを我慢してみんなが聞くからだ。しかし国が豊かになると、生き方が多様化して、みんなが自分らしい生活を追求しようとする。官僚がそこに画一的なルールを押し付けようとしても、うまくいくはずがない。豊かで多様化した社会を牽引していくのは、官僚ではなくマーケット(市場)なのである。地方分権の効果を考えるために、こんな想像をしてみよう。北海道はデンマークと人口はほぼ同じ。面積は2倍もある。豊かな自然と漁場、広大な農地に恵まれた北海道が、もしも「北海道国」のために一生懸命に努力を続けていれば、きっとデンマークと同じくらい豊かで魅力ある国ができたのではないか。

第7章     いのちの大国へ
地球という船はそろそろ定員オーバー。きれいな水・食糧・環境・資源・・・e。みんな不足してきている。国と国との争いがすでに起こっている。たとえば、チベット侵攻の背景には、水資源を押さえる意図もある。どこかの国がリーダーシップと取って、地球という船に秩序を取り戻させる必要がある。江戸時代の日本は、自然と人間が調和しながら暮らす循環型の社会だった。幕末にはじめて訪れた欧米人たちは、「こんな理想郷のような暮らしは見たことがない」とびっくりしたという。欧米に追いつけ、追い越せ!坂の上の雲に憧れて、近代国家に必死で転身するときに、古き良き日本の知恵をいったん捨て去ってしまった。いまこそ明治維新という断絶を乗り越えて、民族の知恵を生かして「いのちの大国」として復活しよう。自然と共生する日本人の知恵を生かし、農業・教育・環境をリンクさせながら発展させて、世界に誇れる「いのちの大国」を実現していこう。

おわりに
誰もが幸せに生きたいと思っている。それを叶えるのが政治の使命だ。だが、幸せとは誰かが与えてくれるものではない。自分でつくり上げるものでもない。幸せとは、感じる力だ。幸せを感じる力はどこから来るのか。それは自分自身の足でしっかり立ち、自らの力の一部を誰かのために役立てることで得られる。人には天分があり、必要だから生まれてきている。自分の得意技に気づいて、その小さな得意技で、誰かを笑顔にする。そうすればいくら貧しくても、充実を感じて幸せな気持ちになれる。豊かになると物質やお金に目を奪われて感じる力を弱くなる。豊かな時代で幸せ感を得るには、誰かのために、将来のために生きること。明治以降、日本は苦労してきた。欧米に飲み込まれないように必死だった。敗戦も迎えた。すべてを失い、また立ちあがった。世界金融危機後、目標だったはずの欧米の制度や考え方は、行き詰まりを見せている。いまこそ私たちは足元を見つめ直すべき。それが日本人のためにも、世界のためにも重大な意味を持っている。この本が、自分たちが住んでいる日本という国について、改めて考えるきっかけになってくれたら幸いである。

【ひとこと】
保守的な人がたくさんいる日本だからこそ、何かあった場合、一気に堰が崩壊する可能性があるかもしれません。「自己責任」。日本に住み続けることもそうなってしまうのかもしれません。

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